作品紹介
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こうもり2
オペレッタ「こうもり」
  • 作 曲|J.シュトラウスⅡ世
  • 演 出・訳 詞|山田 純彦
  • 脚 本|佐藤 万里
  • 照 明|中山 安孝
  • 美 術|鈴木 俊朗
  • 写 真|中村 年孝

こうもりの聴きどころ

「序曲」とても有名な序曲
「舞踏会に行こう」〈二重唱〉
「私はお客を呼ぶのが好き」〈アリア〉
「時計の二重唱(二重唱)
「シャンパンの歌」〈合唱〉別名乾杯の歌
「こうもりワルツ」有名な第2幕フィナーレ。ほか


モーツァルトの魔笛に並ぶ、ドイツオペレッタの最高傑作!
主な登場人物
アイゼンシュタイン男爵 金持ちの銀行家
ファルケ博士 アイゼンシュタインの友人。
今宵の仕掛人
ロザリンデ アイゼンシュタインの妻
フランク 刑務所長
オルロフスキー公爵 ロシアの貴族で遊び人

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プロローグ

幕は、ファルケ博士とオルロフスキー公爵の密談から始まる。


「実は、銀行家のアイゼンシュタインに誘われたとある仮装パーティで『こうもり』の
格好をして出席をした帰り。気持ちよく酔っぱらってひとり公園でうたた寝をしてしま
い、気がついたらもう通勤時間。


アイゼンの奴、私を放ったらかして先に帰ってしまった。お陰で私はさんざん笑われた
挙げ句、『こうもり先生』なんて仇名まで頂戴するはめに!そこで公爵、一つ頼みがあ
るのですが…」とひっそり耳元で打ち明ける。最近パーティーに飽き飽きしていたオル
ロフスキーは、二つ返事でファルケの目論みを承諾し、二人はしっかりと握手を交わし
て別れる。こうしてファルケ博士の一大プロジェクト、『こうもりの復讐』の火ぶたが
切られたのでした。
第一幕・アイゼンシュタイン家の居間

夫の留守中に、妻ロザリンデの元恋人であるアルフレードの歌声が聴こえている。女中
のアデーレは、姉のイーダがオルロフスキー公爵の夜会に今夜、奥様の衣装を借りて行
きましょうと誘ってきたが、小間使いの身、そう簡単に屋敷を出られないと嘆く。


アイゼンシュタインが弁護士のブリントを怒鳴りつけながら帰ってきた。税務署のお役
人と喧嘩をして、お尻を蹴飛ばした罪で5日間の禁固刑を言い渡されていた件で、それ
に異議を申し立てたことで刑期が却って8日間になってしまった。アイゼンは弁護の不
手際だと叱咤するがブリントは、貴方の態度があまりに悪いため、裁判官の心証を害し
たのだと反論する。


入れ違いにファルケ博士がやってきた!アイゼンに「つらいお勤めに行く前にオルロフ
スキー公爵の夜会に今夜一緒に行こう。世界各国からとびきりの美女たちがやってくる
ぞ!」と誘う。アイゼンはすぐにその話に飛びつき、意気揚々と着替えに走る。続いて
ファルケはロザリンデにすかさずパーティーの招待状を渡し、次の仕掛けに急ぐ。それ
は勿論、アイゼンに薦めたものとまったく同じもの。アデーレを呼びつけ「やっぱり、
叔母さんの病気見舞いに行ってもいいわよ。」と暇を与え追い出す。夫婦は8日間の別
れを惜しみ歌うが、今夜のパーティーが念頭から離れず、うきうき気分で別れ、アイゼ
ンを見送るのであった。


入れ違いに今度はアルフレードが再び現れ、アイゼンのナイトガウンを勝手に羽織り食
卓に着く。そこに突然刑務所長のフランクが現れて「ご主人を留置所へお連れしに参り
ました」と言う。酔っぱらったアルフレードはアイゼンの身代わりとなって留置場へと
連行されるのであった。

白線
第二幕・オルロフスキー公爵が主催するパーティー会場

舞踏会の客たちが楽しそうに集っている。ちゃっかりロザリンデの衣装をめかしこんで
きたアデーレが、姉のイーダとともに現れる。一方オルロフスキー公爵は、今夜のファ
ルケ博士の『こうもりの復讐』という愉快な余興に久しぶりにわくわくしている。


早速オルロフスキーは、アイゼンシュタインに小間使いのアデーレを「女優のオルガさ
ん」と、そしてアデーレには「フランスで活躍中のデザイナー、ルナール侯爵」と二人
を引き合わす。慌てながらもアデーレは「こんなに指も足も腰も細く、生まれながら上
品な横顔の小間使いなんているかしら」と笑いとばす。


続いて、刑務所長フランクまでもちゃっかり招待しているファルケは、ムッシュー・バ
スティーユとまたもや勝手に名前をつけて、オルロフスキー公爵より再びアイゼンとフ
ランクを引き合わさせ、お互いフランスからお見えなのでどうぞお国の言葉でお話下さ
いと無茶ぶりをする。


暫くするとマスクで変装したロザリンデがファルケの手紙を片手に現れる。アデーレ似
の女優を口説いている夫が腰に手を回しているのを見て「まあ、あれはうちの主人とア
デーレじゃない。とっちめてやる」とアイゼンに近づく。変装した美しいロザリンデに
直ぐに夢中になったアイゼンは、例の懐中時計を取り出して無様にもロザリンデを口説
き始める。主人がいるからと断るロザリンデに「どうせ大した男じゃないんでしょう?」
と執拗に口説く間抜けなアイゼン。ひとつ、ふたつと朝6時の鐘が音が打つ。出頭する
時刻だと気付き、留置所に慌てて向かおうとするアイゼンとフランクは宴を抜け出し
て、幕となる。
第三幕・刑務所長フランクの部屋

看守のフロッシュが泥酔している。一方、アイゼンシュタインとしてしょっぴかれた
アルフレードはお気楽に歌いながらやって来て、弁護士を呼んで欲しい旨を伝える。
程なくして千鳥足で気分よく酔っ払ったフランク刑務所長が帰ってくる。


そこにファルケ博士から住所を聞いたイーダとアデーレが現れ、大金持ちのムッシュー・
バスティーユと思い込んでいるアデーレは、フランクに「本当の女優になりたい」と
パトロンになって欲しいと頼む。別の訪問者に別室で少しお待ち頂くよう、フロッシュ
に案内させる。


そこへ本物のアイゼンシュタインが出頭し、二人は再会に驚くが、お互い素性を明かし
笑い合う。しかし、牢屋には既にアイゼンがいることを知らされ、驚く本物のアイゼン
シュタイン。そこにちょうど偽物のアイゼンが呼んだばかりのあの使えない弁護士、
ブリントがやってきた。とっさにひらめいた本物のアイゼンは、弁護士の法服をむりやり
ひっぺがし、借りる。


続くお客はロザリンデ。彼女が駆け込んできて、アルフレードに「主人に見つかったら
まずいから直ぐに逃げて!」と言って、弁護士に昨日の経緯を話して、「何とか夫の目を
ごまかす方法は無いかしら?」と相談する。その弁護士とは勿論ブリントに扮した本物の
アイゼンシュタイン。それを聞いた彼は怒って、法服を脱ぎ捨てて正体を現し、妻の不貞
をなじる。ロザリンデは驚くも、落ち着き払って、例のダイヤの懐中時計を得意げに取り
出して、夫を逆に責める。そこにファルケ博士がオルロフスキー公爵ら全ての人々を
連れて現れ、これは全て自分が仕組んだ罠だと打ち明け、「『こうもりの復讐』、お楽しみ
いただけましたか?」と種を明かし幕となる。